トイレタンクの水漏れや水が止まらない場合の対応方法をプロが解説

2023年6月14日

トイレタンクから水が漏れたり、水が止まらなくなる問題は、意外と多くの家庭で起こります。この記事では、水道修理のプロとして、これらの問題の主な原因と効果的な対処法を、わかりやすく解説します。

トイレタンク水漏れ・水止まらない問題の原因と対処法

以下に、トイレタンクの水漏れや水が止まらない症状の主な原因と、それぞれの対策をまとめました。

タンク内部品の劣化

症状: タンクから水が滴り落ちる、または細く流れ続ける。

解決策: 主にボールタップという部品の劣化が原因です。ボールタップは水の流れを制御する重要な部品で、年月とともに機能が低下します。新しいボールタップに交換することで、問題を解決できます。

タンク内のフロート弁が劣化

症状: 便器に少量の水が常に流れ込む。フロート弁に触ると手が黒くなる。

解決策: フロート弁の劣化が主な原因です。ボールタップと同様、時間とともに劣化するのが一般的です。新品のフロート弁に交換することをお勧めします。ボールタップとフロート弁は同時に交換すると、長期的な安定性が得られます。

トイレタンク修理前
トイレタンク内部品交換【修理前】
トイレタンク修理後
トイレタンク内部品交換【修理後】

手洗い管につながっているホースが外れる

症状: 手洗い機能付きタンクで、手洗い部分の蓋を外すとホースが外れて水漏れする。

解決策: ホースの取り付けが緩んでいるか、正しく接続されていないことが原因です。ホースをしっかり再接続することで簡単に解決できます。確実に取り付けることが重要です。

タンク内のチェーンが切れる

症状: 洗浄レバーを操作しても反応がない。水が止まらない状態が続く。

解決策: チェーンが切れたり、フロートに挟まったりすることが原因です。新しいフロートに交換し、チェーンの長さを適切に調整することで解決できます。

その他まれなケース

フロートに挟まったゴミや異物、給水ホースのナット部からの水漏れなども原因となることがあります。これらの場合は、異物の除去やパッキン・ナットの交換が必要です。

作業を始める前に、必ず止水栓や水道メーターの元栓を閉めてください。

部品の交換頻度

トイレタンクの部品は、使用頻度や水質によって劣化速度が変わります。特に硬水地域や塩素濃度の高い水道水では、部品の劣化が早まる傾向があります。一般的には5~10年ごとの交換が推奨されますが、問題が発生したらそれより早く交換が必要な場合もあります。

水質は、トイレタンクの部品の劣化に大きな影響を与えます。特に以下の要因が重要です。

  • 硬水:カルシウムやマグネシウムを多く含む硬水は、部品に水垢を付着させやすく、動作不良の原因となります。
  • 塩素:水道水に含まれる塩素は、ゴム製の部品を劣化させる原因となります。
  • 鉄分:水に含まれる鉄分は、金属部品の錆びを促進します。

対策として、定期的な清掃(月1回程度)、軟水化装置の設置、部品の定期交換などが効果的です。

自分でできる確認方法と素人でもできる対応

トイレの水が止まらないなど、タンク式トイレのトラブルに遭遇した場合、慌てる必要はありません。多くの場合、専門知識がなくても簡単な確認や対応ができます。まずは、静かな環境でトイレの音を聞き、タンク内の水の動きを観察しましょう。異常な音や水の流れがあれば、それが問題の手がかりになります。

素人でも比較的安全に行える作業としては、以下のようなものがあります。

タンク内の異物除去:タンクの蓋を開け、目に見える範囲で異物がないか確認し、あれば取り除きます。小さな異物でも水の流れを妨げる原因になることがあります。

フロートの位置調整:フロートは水位を制御する重要な部品です。位置が適切でないと、水が止まらない原因になります。少し上下に動かして調整してみましょう。

チェーンの長さ調整:チェーンが長すぎると水が完全に止まらず、短すぎると十分な水量が確保できません。適切な長さに調整することで、多くの問題が解決します。

ただし、これらの作業を行う際は、安全第一で慎重に行ってください:

  • 作業前に必ず止水栓を閉めましょう。水が勢いよく噴き出す危険を防ぎます。
  • 無理な力をかけないよう注意してください。部品が破損すると、かえって問題が大きくなります。
  • 電気系統には絶対に触れないでください。感電の危険があります。

自分での対応に不安を感じたり、試みた対応がうまくいかない場合は、迷わずプロの業者に依頼することをお勧めします。

トイレタンクの修理・交換時期の見極め方

トイレタンクは日々の使用で徐々に劣化していきます。以下のような兆候が見られたら、修理や交換を検討する時期かもしれません:

  1. 目に見える劣化:ヒビや変色が目立つようになったら要注意です。特に、ヒビは水漏れの原因になる可能性があります。
  2. 水の流れの変化:フラッシュ後、タンクの水が満たされるまでの時間が長くなったり、水の流れが弱くなったりした場合は、内部部品の劣化が考えられます。
  3. 頻繁な故障:同じ問題が繰り返し発生する場合、タンク全体の寿命が近づいている可能性があります。
  4. 異常な音:タンクから異常な音がする場合、内部部品の摩耗や破損が考えられます。

トイレ全体の寿命

トイレ全体の寿命は一般的に10〜15年程度ですが、使用頻度やメンテナンス状況によって大きく変わります。定期的な点検とメンテナンスを行うことで、寿命を延ばすことができます。

最新のトイレは節水性や機能性が大幅に向上しています。10年以上経過したトイレをお使いの場合、交換を検討する良い機会かもしれません。新しいトイレに交換することで、水道代の節約や快適性の向上が期待できます。

節水性

最新のトイレタンクは、驚くべき節水性能を持っています。従来型と比べて約30%の水を節約できるモデルもあり、これは年間の水道代を大きく削減できる可能性があります。

例えば、1回あたりの洗浄水量が13Lのトイレを、6Lのものに交換すると、4人家族の場合、年間約20,000円の節約になるという試算もあります。これは環境負荷の軽減にもつながる、非常に意義のある選択と言えるでしょう。

ただし、節水型トイレにもデメリットがあります。水量が少ないため、場合によっては詰まりやすくなったり、汚れが付きやすくなったりする可能性があります。また、複雑な機構を持つものは、部品の交換頻度が高くなる傾向があります。

このようなデメリットを考慮しても、多くの場合、節水型トイレへの交換はメリットが大きいと言えます。ただし、個々の使用状況や住宅の配管状況によって最適な選択は異なりますので、専門家に相談することをお勧めします。

関連記事:節水型トイレが詰まる原因と効果的な対処法をプロが解説

トイレタンクの交換費用

トイレタンクの交換費用は、選択する製品や工事の複雑さによって大きく変動します。一般的な価格帯は以下の通りです:

  • タンクのみの交換:3万円〜7万円
  • トイレ一式の交換:10万円〜30万円

ただし、これはあくまで目安です。古い配管の交換が必要になったり、床の補強が必要になったりすると、さらに費用が上がる可能性があります。

適切な業者選びも重要です。少なくとも3社以上から見積もりを取り、以下の点を確認しましょう:

  1. 見積もり内容の詳細(部品代、工賃、その他諸経費など)
  2. 保証内容
  3. アフターサービスの有無
  4. 過去の施工実績

価格だけでなく、これらの要素を総合的に判断して業者を選ぶことが、長期的に見て賢明な選択につながります。

トイレタンクの選び方

トイレタンクを選ぶ際は、以下のポイントを考慮しましょう:

  1. 節水性能:先述の通り、節水性能の高いものを選ぶことで、長期的に見て大きな節約になります。
  2. 洗浄力:節水性と洗浄力はトレードオフの関係にあることが多いです。両立させた製品を選びましょう。
  3. 耐久性:良質な素材を使用し、シンプルな構造の製品は長持ちする傾向があります。
  4. メンテナンス性:部品の交換が容易な製品を選ぶと、将来的な維持管理が楽になります。
  5. 静音性:夜間の使用を考慮し、静音設計の製品を選ぶのも一案です。
  6. デザイン:トイレ空間全体の雰囲気に合うデザインを選びましょう。

製品選びの際は、実際に展示場で見て触れてみることをお勧めします。カタログやウェブサイトだけでなく、実物を確認することで、使い勝手や質感をより正確に判断できます。

トイレ交換の事例

「トイレタンク内のオーバーフロー管が折れてしまった」とご連絡をいただいた際の事例です。

タンク内の部品交換での対応も可能でしたが、トイレの使用年数や今後新たに起こりうる問題への懸念、長期的なコストを考慮して、トイレ交換を選択されました。

オーバーフロー管(撮影のためレバー側のタンク上部に置かれているクリーム色の管)が根元から折れています。

トイレ交換1_オーバーフロー管の故障

まずは温水洗浄便座や給水周りの管を取り外します。

トイレ交換2_便座と給水周りの取り外し

タンクを取り外します。

トイレ交換3_タンクの取り外し

続いて便器や古いパーツを取り外し排水管が見えている状態になっています。

トイレ交換4_便器や古いパーツを取り外し

新しい便器を取り付ける準備をします。

トイレ交換5_新しい便器を取り付ける準備

便器取り付け用の排水管を設置します。

トイレ交換6_排水管を設置

新しい便器を設置します。

トイレ交換7_新しい便器を設置

タンクを取り付けます。

トイレ交換8_タンク取り付け

温水洗浄便座を取り付け、給水周りの配管を繋ぎ完了です。

トイレ交換9_温水洗浄便座を取り付け、給水周りの配管を繋ぎ完了

予防策: トイレタンクの水漏れ予防

水漏れを未然に防ぐためには、日頃のケアが重要です。以下の予防策を心がけましょう:

  1. 定期点検:月に1回程度、タンク内を目視で確認します。特に、フロート、フラッパー、フィラーバルブなどの可動部分をチェックしてください。
  2. 清掃:年に2〜3回、タンク内を掃除します。水垢やカビの蓄積は部品の動作を妨げる原因になります。市販の洗剤を使用し、柔らかいブラシで優しく洗浄してください。
  3. 部品の定期交換:フラッパーやフロートなどの部品は、3〜5年を目安に交換しましょう。これらの部品は比較的安価で、自分で交換できるものも多いです。
  4. 適切な使用:トイレットペーパー以外の物を流さないよう、家族全員で心がけましょう。異物による詰まりは、タンクに余計な負担をかけます。
  5. プロによる定期メンテナンス:年に1回程度、専門業者によるチェックを受けることをお勧めします。プロの目で見ることで、素人では気づきにくい問題を早期に発見できます。

これらの予防策を実践することで、トラブルのリスクを大幅に減らすことができます。トイレは毎日使う大切な設備です。日頃のケアで、快適な使用環境を維持しましょう。

まとめ

トイレタンクの問題は、多くの場合、部品の劣化や不具合が原因です。定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、多くの問題を未然に防ぐことができます。

簡単な確認や調整は自分でも行えますが、複雑な問題や自信がない場合は、迷わずプロの業者に相談しましょう。早めの対応が、大きな故障や高額な修理を防ぐ鍵となります。

また、トイレの交換を検討する際は、節水性能や使いやすさ、長期的なコスト面なども考慮し、総合的に判断することが大切です。適切な選択と日々のケアで、快適なトイレ環境を維持していきましょう。

関連記事:実は危険!トイレ床の水漏れを見つけたらいますぐやるべきこと

 

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ミズのホットライン鈴木

年間訪問件数は約500件。水道緊急業界20年の経験があります。 関連保有資格は給水装置工事主任技術者、排水設備工事責任技術者、管工事施工管理技士など。ご相談は0120-861-688またはLINEから