トイレの床の水漏れを放置すると、床や壁の腐食、カビの発生、さらには階下への漏水による建物の損傷を引き起こす恐れがあります。最悪の場合、電気系統への水の浸入により、漏電や火災のリスクも高まります。
この記事ではこのようなトイレの床の水漏れに関して、その原因や症状別の対処方法について解説しています。
まずは「何をしたときに漏れるのか?」の確認
水漏れを見つけたら、まず「どんな時に漏れるのか?」を調べましょう。以下のポイントを確認してください。
- トイレを流した時に水が漏れるか?
- ウォシュレットを使うと漏れるか?
- 何もしていない時にも勝手に漏れているか?
- どの部分から漏れているか?
特に、マンションの2階以上に住んでいる方は、下の階への影響も確認する必要があります。
水漏れを発見したら、まず水たまりを拭き取り、吸水性のある布やタオル、ペットシートなどで水を吸い取ってください。
水漏れの量が多い場合は、止水栓を時計回りに回して閉めましょう。止水栓は通常、便器の横や後ろ、または床から立ち上がっている配管部分にあります。見つからない場合は、トイレ室の外の廊下や洗面所付近も確認してください。止水栓が固くて回しにくい場合は、家の水道の元栓を閉めるのも有効です。
床に水漏れが起こる原因
トイレの床や便器の周りから水が漏れる主な理由を解説します。
1.詰まりによる排水オーバーフロー
症状: トイレを流すと水位が急上昇し、便器から床に溢れ出す。
トイレの詰まりは、最も一般的な水漏れの原因です。排水管が詰まると、水が便器内にたまり、あふれ出してしまいます。
詰まりの主な原因は、トイレットペーパーの過剰使用や異物の混入です。水に溶けにくいウェットティッシュや生理用品、おもちゃなどが特に危険です。また、髪の毛や食べ物のカスも長期間蓄積すると詰まりの原因になります。
詰まりを防ぐコツは、適量のトイレットペーパーを使うことと、トイレ専用の溶けやすいペーパーを選ぶことです。また、定期的にトイレブラシで便器を掃除し、髪の毛などを取り除くことも効果的です。
2.ウォシュレットの劣化
症状: ウォシュレットを使用した際に、本体と便器の接続部分から水が滴る。
ウォシュレットの部品の摩耗や故障も水漏れを引き起こします。一般的に10年程度で不具合が生じやすくなりますが、製品によっては4〜5年で問題が起こることもあります。
特に注意が必要なのは、長期間使用していないウォシュレットを再び使い始める時です。内部の可動部品が固着して水漏れの原因になることがあります。給水フィルター周辺からの水漏れが最も多いので、定期的な点検と清掃が重要です。
ウォシュレットからの水漏れを防ぐには、年に1〜2回程度の点検と清掃を行いましょう。特に給水フィルターは定期的に掃除し、パッキンの劣化がないか確認することをおすすめします。
3.タンク・内部部品の劣化
トイレタンク内の部品劣化も水漏れの原因となります。
古いトイレでは、タンク内のパーツが錆びたり劣化しやすいです。定期的な点検を行い、異常があれば部品交換や新しいトイレタンクへの交換が必要です。
タンク内部の劣化を防ぐには、年に1回程度タンクの蓋を開けて内部を確認し、異常な音や水の流れがないかチェックしましょう。また、水あかの付着を防ぐため、定期的にタンク内の掃除も効果的です。
4.便座やトイレタンクのヒビ割れ
ウォシュレット便座やトイレタンクの割れやひびも水漏れの原因です。
便器のひび割れは、衝撃や重量物の設置、急激な温度変化などが原因です。ひび割れたまま使用すると、汚水が床に漏れる恐れがあります。特に古い便器は注意が必要です。
ひび割れを防ぐには、便器に強い衝撃を与えないよう注意し、熱湯を直接流さないようにしましょう。また、便器の上に重いものを置かないことも大切です。
トイレやウォシュレットの寿命は、使用頻度やメンテナンス状態により異なりますが、一般的に10〜15年が目安です。しかし、10年を超えると故障リスクが高まるため、定期点検が重要です。
【状況別】自分でできる対応
トイレの水漏れに関して、症状別に自分で対処できる方法を紹介します。
症状によって原因や適切な対処法が異なりますので、ぜひ参考にしてください。
トイレがつまっている
トイレが詰まり、それが原因で床に水が漏れることがあります。その場合、ホームセンターで手に入るラバーカップを使って詰まりを解消できるかもしれません。
注意:ラバーカップの効果は、詰まりの状況によって異なります。浅い詰まりには効果的ですが、下水管の深い位置での詰まりには効果が薄い場合があります。
水が漏れている
まず、漏れている水を完全に拭き取ります。 30分ほど様子を見て、再び水が漏れないか確認します。
特に冬場は、配管や便器と室内の温度差による結露が原因の可能性があります。拭いた後に水が再び現れなければ、結露が原因と考えられ、特に問題はありません。
タンクの水が止まらない
タンクの水が止まらない場合は、タンク内のフロートバルブが動いているか確認しましょう。
フロートバルブを動かしても水が止まらない場合は、タンク内パーツの磨耗が考えられます。タンク内の鎖が絡まっている場合は、リング状の鎖は2輪ほど、玉鎖は4玉ほどたるませて対処しましょう。
そもそも水が出ない
水が出ない場合は、ストレーナー(水アカやゴミなどが便器に入らないようにするフィルター)に異物が詰まっていないか確認してください。
分解して掃除することで問題が解決することがあります。
こんな場合は自分でやらずに業者に依頼
水を止めるとき給水部の止水栓が劣化していたり硬くて回らない場合は、破損や漏水の危険があるため、無理に回さないでください。一時的に家中の水が止まる不便がありますが、メーターバルブ(水道メーターの元栓)で水を止めることをおすすめします。
水を拭いても再発する
床に漏れた水を拭き取った後、短時間で再び水が漏れてくる場合、これは一時的なトラブルではなく、設備の故障や経年劣化が原因である可能性が高いです。
このような場合、専門業者やハウスメーカーにすぐに連絡することが最善の対策となります。特にマンションのような集合住宅で、水漏れが2階以上から発生している場合、下の階への影響を最小限に抑えるためにも、迅速な対応が求められます。
噴水・噴出する
水が少量漏れるのとは異なり、噴水のように水が勢いよく吹き出す場合、これは非常に危険な状態を示しています。
このような状況では、まずはメーターバルブで水を止め、安全を確保してください。そして、専門業者に至急連絡し、適切な修理を依頼することが必要です。
以下の場合は、必ず専門家に依頼しましょう
- 床や壁に変色や膨らみが見られる場合(構造的な損傷の可能性)
- 電気系統の近くで水漏れが発生している場合(漏電の危険性)
- 配管の接続部分からの漏水(専門的な工具や技術が必要)
- トイレ本体のひび割れや破損(交換が必要な可能性)
DIYで対応可能な範囲は主に、簡単なつまり解消や部品の緩みの調整程度です。不安がある場合は、必ず専門家に相談しましょう。
まとめ
【水漏れを防ぐための日常的なメンテナンス】
- 定期的な清掃:週に1回程度、トイレ周りを丁寧に掃除し、水漏れの兆候がないか確認しましょう。
- 詰まり予防:トイレットペーパー以外の異物を流さないよう注意しましょう。
- 部品の点検:年に1回程度、タンク内の部品や接続部分を点検し、劣化がないか確認しましょう。
- 専門家による定期点検:2-3年に1回程度、専門家による点検を受けることで、潜在的な問題を早期に発見できます。
これらの対策を行うことで、多くの水漏れトラブルを未然に防ぐことができます。
トイレの水漏れの修理費用は、その原因や修理の範囲によって異なります。一般的に、部品交換や小規模な修理であれば数千円から数万円程度ですが、トイレ全体の交換が必要な場合は10万円以上かかることもあります。
単純なつまりや結露であればご自身での対応が可能なこともありますが、床の腐食や階下漏水、階下の漏電などのリスクがある箇所でもありますので、不安がある場合には一度ご相談ください。
トイレの水が止まらない場合はこちら
トイレタンクの水漏れや水が止まらない問題についてプロが解説しています。主な原因はタンク内部品の劣化で、具体的な対処法や自分でできる確認方法も紹介しています。