キッチンの排水口のつまりは日常生活に多くの不便をもたらします。この記事では、水道修理業のプロがキッチンの排水口のつまりについて徹底解説します。
つまりの主な原因から、自分でできる簡単な解消法、業者に依頼する際の注意点と料金、さらにはつまりを防ぐ日常の習慣まで幅広くカバーしています。
キッチンの排水口のつまりが起こる主な原因
油や食べ物の残り
キッチンの排水口がつまる一番の原因は、油や食べ物の残りが排水口に詰まることです。
料理中や食事のあと皿洗いをする際に気をつけないと、油や食べ物の残りが排水口に流れ込みます。キッチンから流れる油脂は時間と共に固まり、この固まった油脂がつまりを引き起こします。
特に冬場は温度が下がり油脂の固まりやすさが増すため、キッチンの排水口に油脂が溜まらないように注意が必要です。
特に天ぷら油やバター、チーズなどの固まりやすい油は要注意です。これらの油は水と混ざりにくく、排水口や管内にこびりつきやすいのです。
つまりを防ぐため、また環境保護のためにも、料理油は凝固剤で固めたり別の容器に移して捨て、食べ物の残りもしっかりとゴミ箱に捨てるようにしましょう。調理器具や食器の底に溜まった少量の残り油類なら、キッチンペーパーなどで先に拭き取っておくと、そのあとの洗浄もしやすくなります。
排水口の構造とつまりの関係
排水口の構造もつまりの原因となり得ます。一般的なキッチンの排水口は、水を流す部分とゴミをキャッチするフィルターがセットされていますが、このフィルターが細かすぎると小さな食べ物の残りや油が溜まりやすくなり、水が流れにくくなるので、こまめにゴミを取り除くことが必要です。
また、排水管がS字やクランク状に曲がっている場合、その曲がり角で油やヘドロ状の汚れが溜まりやすく、つまりが発生しやすいです。排水口や排水管の構造を理解しそれに合わせた掃除を行うことで、つまりを未然に防ぐことが可能です。
自分で解消できる簡単なつまりの解消法
熱湯を使った方法
キッチンの排水口が詰まる一番の原因は油や食べ物の残りです。熱湯はこれらの油脂を溶かすのに非常に効果的です。
熱湯をゆっくりと排水口に注ぐだけで、軽度のつまりは解消される場合があります。ただし、プラスチック製の管は熱に弱いので、この方法は"金属製の管に限定"してください。さらに、この方法を効果的に行うためには、熱湯を注ぐ前に、大きなゴミや食べ物の残りを手で取り除き、排水口のゴミ受けカゴや排水管口の椀を取り外して行うとより効果が高まります。
また熱湯を注ぐ際は一気に注ぐのではなく、数回に分けて注ぐことで油脂がしっかりと溶けやすくなります。
重曹とお酢のパワー
重曹とお酢の組み合わせは、自然な成分でありながら強力な洗浄力を持っています。
まず、排水口に重曹を振りかけ、その後にお酢を注ぎます。数分間放置した後お湯(40~50℃程度)で流すと、つまりが解消される場合があります。この方法のポイントは、重曹とお酢の反応時間をしっかりと取ることです。反応時間が短いと、十分な洗浄効果が得られない場合があります。また、この方法は生ごみや髪の毛など、油以外のつまりにも効果的です。
ペットボトルを使った手法
水を満タンに入れたぺットボトルを逆さまにして排水口を塞ぐように押し当て、勢いよく握り中の水を排水管内に押し出すことで、つまりを物理的に取り除ける場合もあります。
この方法は、つまりが近くにある場合に特に効果的です。この方法を行う前に、ゴミをきちんと取り除き、排水口のゴミ受けカゴや中の排水管口の椀を取り外して行います。
また、ペットボトルの代わりに、専用の排水口クリーニングツールも市販されているので、それを使用することも一考です。
参考記事(外部):【裏ワザ?】ペットボトルでシンクの排水口つまりを解消【簡単】
排水口クリーナーの効果
市販されている排水口クリーナーも非常に効果的です。ただし、化学物質を含むものが多いので、使用後は必ず十分に水で流すようにしましょう。また、使用前には必ず製品の指示に従ってください。
排水口クリーナーには様々な種類があり、液体タイプ、粉末タイプ、ゲルタイプなどがあります。それぞれのタイプには特有の使用方法と効果がありますので、つまりの状態に応じて選ぶことが重要です。例えば、液体タイプは流れやすいため管の奥まで届きやすく、粉末やゲルタイプはつまりの部分にしっかりと密着し、効果的につまりを解消します。ただし管内の汚れがひどい場合、クリーナーで剥がれ落ちたヘドロ状の汚れの塊が、排水管内の奥を塞いでしまい詰まりが悪化するケースもあるため、ひどく汚れた排水管への使用には注意が必要です。
業者に依頼する場合の注意点と料金
料金の目安
キッチンの排水がつまった緊急時、業者に依頼すると一般的には1万円から3万円程度が料金の目安です。ただし、この価格はあくまで目安であり、深い場所が詰まっている場合は、作業内容や業者によってこれ以上になる場合もあります。
例えば特殊な機材が必要な場合や、作業が夜間に行われる場合などで追加料金がかかることがあります。そのため、事前に見積もりを取ることを強くおすすめします。
高圧洗浄のメリットとデメリット
高圧洗浄はつまりを素早く効率的に解消できる方法として広く用いられています。
そのメリットとしては、スピーディーな作業と高い解消率が挙げられます。特に、頑固なつまりに対しては非常に効果的です。しかしデメリットとしては費用が高くなることが多く、また古い配管や配管の材質によっては向かない場合があります。
高圧洗浄は非常に強力な水流を用いるため、古い配管には破損のリスクも考慮する必要や、詰まりの状況によっては別の機材との併用が必要なケースがあります。
業者選びのポイント
業者選びは非常に重要なステップです。口コミや評価はもちろん、業者の資格や経験も確認するようにしましょう。
水道工事業の許可の有無、また事前に相談や質問、見積もりと作業内容の説明を受け、信頼性を確かめることが大切です。さらに、24時間対応している業者は夜中や早朝の緊急時にも頼りになるため、そのようなサービスを提供している業者を選ぶことも一つの方法です。
2024年1月20日には、京都地裁は高額な水回り修理代金を巡る集団訴訟で業者に工事費全額の支払いを命じました。原告(被害者)は「基本料金1000円」の広告を見て依頼したが、十分な説明なしに高額な請求を受けたということです。松山裁判長はこれを悪徳商法と認定し、これは全国で初の判決であり他地域でも同様の訴訟が進行中です。
参考:高額な水回り修理の集団訴訟で初判決、地裁「悪徳商法だ」…業者に工事費全額の支払い命令
消費者庁:ウェブサイト上では低額な料金を表示しているが、 実際には高額な料金を請求するトイレの詰まり修理業者に関する注意喚起 [PDF:4.6 MB]
国民生活センター:水回り修理「950円~」のはずが…数十万円の高額請求に!-水回り修理、解錠、害虫駆除などの緊急対応で事業者とトラブルにならないためには?-
キッチンのつまりの緊急対処法
排水口の蓋とゴミ受けカゴの取り外し
キッチンの排水口がつまった時、最初に行うべきは、シンクにゴミや食べ物クズが残っている場合、これらをまずはしっかりと取り除くことです。その後、排水口のゴミ受けカゴを取り外します。慌てて先にゴミ受けカゴや、中の排水管口の椀を外してしまうと、シンクに残されたゴミなどが排水管に入り込み、つまりを悪化させる可能性もあります。排水がシンクにあふれている場合は、灯油用ポンプなどで水気を汲み出してから行うと良いでしょう。
取り外し方は排水口の形状や、シンクのタイプによって異なりますが、大抵は手で簡単に取り外せます。
緊急時に使える家庭のアイテム
緊急時には、家庭にあるアイテムでつまりを解消する方法もあります。
例えば、食器用洗剤を少量排水口に注ぎ、お湯(40~50℃)を流すことで油汚れを分解できることがあります。また、市販のワイヤーブラシ、パイプクリーナーなどのツールを使って、つまりを物理的に粉砕したり取り除く方法で、解消できる可能性があります。つまりが酷い場合は、逆に汚れを押し込んでしまい悪化することもあるため、注意が必要です。
つまりを防ぐ日常の習慣とは?
油汚れの予防
キッチンの排水口つまりの大きな原因は油汚れです。料理後の油は絶対に排水口に捨てないようにしましょう。
油は冷えると固まり、排水口をつまらせる可能性が高くなります。油は別の容器などに捨て、ゴミとして処分するのがベストです。
定期的な排水口の掃除
排水口は日常的に掃除することで、つまりを予防することができます。
使用頻度や汚れが蓄積してくる期間に合わせて、定期的にゴミ受けカゴや排水管口の椀を取り外し、管内と周辺をしっかりと掃除しましょう。これにより、シンクの排水パイプに油やヘドロ汚れが溜まるのを防ぎます。
排水口用のネットやフィルター
排水口にネットやフィルターを設置することで、食べ物の残りや小さなゴミが排水に流れ込むのを防ぐことができます。これは特に多くの料理をする家庭で有効な方法です。
長期間のつまりとその影響
排水口の劣化
長期間にわたってキッチンの排水が詰まった状態が続くと、排水管自体の劣化を早める可能性があります。
特に油や食べ物の残りが堆積することで、排水管の内壁が傷み最悪の場合は水漏れを引き起こすこともあります。このような状況を避けるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
悪臭と健康への影響
排水口がつまると、排水がシンク内に溢れたり悪臭が発生することが多いです。
キッチンは口にするものを扱うことが多い場所ゆえに、長期間放置すると健康にも影響を与えかねません。特に細菌などの繁殖が進むと、衛生面でのリスクも高まります。早めの対処が求められます。
おすすめ商品とツール
排水口用のネット
キッチンの排水口つまりを防ぐためには、排水口用のネットが非常に効果的です。
このネットは食べ物の残りや小さなゴミをキャッチして、排水口への流入を防ぎます。できれば毎日交換することで、清潔を保ちつまりの予防が可能です。
パイプブラシ/パイプクリーナー
排水口内に直接アクセスできるこのツールは、日常の定期的な清掃にも非常に便利です。使用する際には、パイプを傷つけたり破損させないよう、注意深く作業を行ってください。
排水口クリーナー
市販されている排水口クリーナーも、つまり予防や軽いつまりの解消に役立つアイテムです。
ただし、化学物質が含まれている場合が多いので、使用後はしっかりと水で洗い流す必要があります。また、効果を最大限に発揮させるためには、定期的な使用が推奨されます。
高圧洗浄機
高圧洗浄機は、頑固なつまりに対して非常に効果的です。
圧力が高めの家庭用高圧洗浄機も市販されていますが、排水口への使用には特に注意が必要なため、適切な使用方法を確認した上で安全に作業を行ってください。
まとめ
この記事では、キッチンの排水口がつまる主な原因とその対処法について詳しく解説しました。
自分で解消できる方法から業者に依頼する際のポイント、さらにはつまりを防ぐための日常習慣まで、多角的にアプローチを提供しています。排水口のつまりは、早めの対処と予防が鍵です。この記事が、皆さんのキッチンでのトラブル解決に役立つことを願っています。