キッチンや洗面台で使われる混合水栓の根本からの水漏れは、水漏れのなかでも一般的です。
この記事では、そのような水漏れが発生した場合の対処法を専門家の視点から解説します。
水漏れの原因から、自分でできる修理方法、そしてどのタイミングで専門の業者に依頼すべきかの判断まで幅広く解説します。
混合水栓の根元からの水漏れとは
ここでは混合水栓のなかでもキッチンや洗面台などでよく使われている台付シングルレバー混合水栓の根元から水が漏れる現象とそのおもな原因について解説します。
水漏れが起きるメカニズム
台付混合水栓の根元から水が漏れる主な原因は、多くの場合内部の「カートリッジ」や「パッキン」の劣化です。
「カートリッジ」とは、水栓の内部にある水量や温度を調整する核心部品です。「パッキン」は水漏れを防ぐためのゴム製の密閉部品で、蛇口の各所に使用されています。これらの部品は使用頻度や経年劣化により性能が低下し、水漏れの原因となります。
劣化のサインのひとつとして、根元からジンワリと水がにじみ出てくる現象があげられます。
また、根元付近のスパウト部の動きが固くなったり異常な音がする場合も、中のパッキンの劣化が始まっているサインとなり、進行すると蛇口の使用中に根元から水漏れが起こることがあるため注意が必要です。
一般的な原因と対策
ほかにも水栓の取り付けが不適切であったり水栓自体が古くなっていることもよくある水漏れの原因です。
対策として定期的なメンテナンスが必要で、特に水漏れが見られた場合は早めのメンテナンスが推奨されます。
水漏れの程度と対応の緊急性
水漏れを発見したら、その程度を正確に判断することが重要です。程度によって対応の緊急性が変わってきます。以下の基準を参考に、あなたの状況を判断しましょう。
1. わずかな滴り
- 状況: 1分間に数滴程度の水漏れ
- 緊急性: 低~中
- 対応時間: 24時間以内に対応
- 具体例: コーヒーのドリップのような速さでゆっくりと滴る
- 注意点: 放置すると徐々に悪化する可能性があります
2. 細い流れ
- 状況: 細い糸のような連続した水の流れ
- 緊急性: 中~高
- 対応時間: 数時間以内に対応
- 具体例: シンクの水を最小限に開けたときのような細い流れ
- 注意点: 水道代の無駄遣いにつながり、長時間放置すると周囲に水濡れ被害が及ぶ可能性があります
3. 勢いのある流れ
- 状況: はっきりと目に見える太さの水流
- 緊急性: 非常に高い
- 対応時間: 直ちに水を止め、即時対応が必要
- 具体例: 蛇口を4分の1程度開けたときのような流れ
- 注意点: 短時間で大量の水が漏れるため、水濡れによる家財の被害や、最悪の場合は階下への漏水につながる可能性があります
水漏れの緊急対応
水漏れが発生した際には迅速な対応が求められます。水漏れが起きた際に何をすればよいのか、具体的な手順を簡単に解説します。
水の元栓を止める
最初に行うべきことは、蛇口への水の供給を止めることです。これにより、水漏れによる被害を最小限に抑えることができます。
台付混合水栓の止水栓は多くの場合、キッチンシンク下や洗面台の下に設置されています。元栓を見つけて、すぐに閉めてください。元栓が固くて回らないときは無理をせず水道メーターの元栓で止水して下さい。
漏れている原因を特定する
水を止めた後は、水漏れ原因の特定と水漏れ範囲の確認をしましょう。
水漏れがシンク下や洗面台下にも及んでいないか確認し、濡れている場合はすぐに拭き取って下さい。水漏れ部分や原因が特定できない場合や、複数箇所から漏れているような状況では、早めに専門の業者へ依頼することをお勧めします。
自分で修理する方法
カートリッジが原因の水漏れは個人で解決できるケースも多い水漏れです。基本的なカートリッジ交換の一例を解説します。
必要な工具と材料
水漏れを自分で修理する場合には、いくつかの基本的な工具と材料が必要です。
工具は、細めのドライバーと六角レンチが最低限必要です。色んなサイズが選べるセットがあると便利です。材料は新しいカートリッジを用意します。
これらはホームセンターで手に入りますが、部品の型番やサイズは使用している蛇口専用のものを事前に確認しておくと良いでしょう。
カートリッジの交換手順
カートリッジは、レバー下の本体内部にあります。作業する前には、必ず止水栓を閉めるのを忘れないようにしましょう。
①お湯/水両方の止水栓を閉めたら、まずはレバー部の固定ネジを緩めてレバーを外してください。レバー部の小さな化粧キャップ(お湯/水の方向を示す赤や青のボタンカバーなどがあります)をマイナスドライバーで外し、その中のネジを緩めるとレバーが取り外せます。
②次に、本体の付け根をしっかり固定しながら、上部のカバーを左に回して取り外します。少し固い場合があります。このとき、本体ごと一緒に回ってしまうと、下につながっている配管系統が破損することがあるため、本体の固定は必ず行なって下さい。専用の固定具が販売されているメーカーもあるので、必要な場合は購入できます。
③中のカートリッジ部が丸見えの状態になりました。続いて、カートリッジのカバーを外します。この時に細めの六角レンチが必要です。カバーのネジを緩めて取り外します。
④現れた古いカートリッジを取り出し、新しいものに交換します。カートリッジの底の突起部を、本体の穴に合わせて置きます。取扱説明書を参考に、カートリッジの向きに注意して設置して下さい。
⑤カートリッジのカバーを取り付けます。カバーのネジは締め過ぎに注意し、適度な力加減で締めて下さい。
⑥外したその他の部品を、一つずつ元に戻します。ここでも、上部のカバーを取り付ける時は、本体の付け根の固定を忘れないようにしましょう。最後にレバーを取り付けたら完了です。
⑦止水栓を開け、水漏れが止まったかを確認して下さい。
この作業は比較的簡単なので、初めてでも安心して行えます。
同じ手順で、スパウト部も取り外すと、中の本体胴体部にあるスパウト内パッキンの交換が可能です。この部分のパッキンは多くの場合2つ付いていますので、2つとも交換して下さい。パッキンやカートリッジは、設置する位置や向きに気を付けて交換しましょう。
水漏れのパターンや、蛇口のタイプなどによって、修理の手順と方法はこの限りではありませんが、基本的なカートリッジ交換は、レバーを閉めているのに吐水口からの水が止まりきらない場合などにも有効です。
なお、内部の部品が固着して外せない場合は無理に外そうとすると破損の原因となりますので、すぐに作業を中断して下さい。
パッキンの交換手順
浴室蛇口にも様々な種類がありますが、今回は構造がシンプルなハンドルタイプで説明します。
まずはハンドル上部のキャップを外し、中の留ネジを緩めてハンドルを取り外します
中は単水栓とほぼ同じ構造です。
ハンドル下の根元をおさえている部品を取り外し、スピンドル一式を取り出します。
コマパッキンがスピンドルと一体になっていて外せないものもあるので、その場合はスピンドルごと交換します。単水栓と同様、スピンドル・パッキン類全て自身での交換も可能です。
業者に依頼する場合のポイント
カートリッジの交換、内部パッキン類の交換はDIYでも可能ですが、自身でこれらの修理を試みても改善しないときや、配管周辺の水漏れ、複数箇所の水漏れなどの場合は、専門業者への相談をお勧めします。
自分で修理する場合のコストは、カートリッジの部品代のみで、約5,000円前後から10,000円くらいが目安です。
業者に依頼する場合は、10,000円~20,000円前後が相場となっています。ただし、業者によって料金は異なるため、依頼する前に見積もりを取ることをおすすめします。
業者に依頼する場合も、事前の準備として自分でできる調査は行っておくと、よりスムーズな修理が期待できます。
参考:消費者庁:ウェブサイト上では低額な料金を表示しているが、 実際には高額な料金を請求するトイレの詰まり修理業者に関する注意喚起 [PDF:4.6 MB]
参考:国民生活センター:水回り修理「950円~」のはずが…数十万円の高額請求に!-水回り修理、解錠、害虫駆除などの緊急対応で事業者とトラブルにならないためには?-
まとめ
混合水栓の根元からの水漏れは、水を止めて漏れている原因の特定と漏水の範囲を確認することが最初のステップです。
自分で修理する場合は、必要な工具と材料を揃え、手順に従って作業を行ってください。原因の特定が難しかったり、状況が複雑な場合、自身での修理が不安な場合は、被害が拡大する前に専門の業者に依頼するのがよいでしょう。
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